法改正
省エネ基準適合※、構造規制に関する規定等※が改正公布され、2025年から法律が変わる。
最近の物価高は建設業界も例外ではなく、この法改正によりますます住宅の値段は高くなるだろう。
業界内だけで議論をとどまらせることなく、「なぜ、この法改正が必要なのか」「我々の取り組みの先にある世界」といった目指す方向や趣旨を消費者に説明、アピールするべきである。
※省エネ基準適合義務化 国土交通省が脱炭素化社会の実現にむけて取り組もうとしている制度のこと。
2025年度以降に新築する全建築物に省エネ基準への適合を義務付ける
※構造規制に関する規定 木造戸建住宅に関して4号特例の範囲縮小が盛り込まれており、
これにより2階建ての木造戸建て住宅は構造審査が必要になる。
住宅は
建てるときに使うエネルギー
住んでいる時に使うエネルギー
解体するときに出るエネルギーがある
省エネ性能を上げたから、生活者が電気、ガスといったエネルギーを節約せずに使っていいのだというまちがった解釈をしてしまう場合がある。
役人や研究者は全体を見通し、省エネにつなげていく道筋を考え、具体化する。それを我々作る側も使う側も意識して生活していくことが大切と考える。
重要なことは2005年施行の「住生活基本法」の理念である「豊かな住生活の実現」のために役人も研究者も設計者、施工者、我々市民もそれぞれの場所での創意工夫、努力が必要だ。
構造規制に関する規定等についてはどうだろう?
意匠設計者と称し、建築士として最低限必要な構造仕様の技量を敬遠し、他人頼みする人が多い。(ひと昔前の建築家は構造にも長けていた→よい建物ができた)
木造2階建てを想定する現行の仕様基準は、現在の省エネ技術や材料、プラン形状、建物用途によって内容は変わる。しかし大元の基準法、施施行令の内容はここ40年変わらないという不思議もある。
日本において住宅政策は景気対策のエンジンとしてきた時代背景もあり、市場は広く、生業にする労働者人口も多い。また少子高齢化が進み着工戸数が減少する中、新規住宅を規制して本当に大きな成果はあるのだろうか?そんな中の法改正である。与える影響ははかりしれない。
イエ作りとは、人のくらしの豊かさや地域とのつながり(コミュニティ)等幅広い範囲で考えることが大事だと考えている。
ここ数回にわたり、イエには「すまい」「構造」「省エネ」全ての観点が必要だと考える事務所のビジョンから自分の考えや思いをまとめてみようと思う。